夕焼けのデルタリオン

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 これは機械と戦闘とそして友情のお話

物部一式 [TPfmz-nzfwZ-fFvaZ-UKgnA] 2006/06/21(水) 19:45:36


 ――某国 人工知能研究所 秘密の地下室

 7月○○日
 人工知能『ロビン』への情報入力が終了した。
 明日、最後の修正が終わった後、『ロビン』を起動させる。
 われわれの作る人工知能は、今まで表の世界に出ているものとは根本的に違うものになる。
 起動が成功すれば、『ロビン』は自ら考え、己を高めることのできる、本当の知能と呼べるものを内在した最初の機械になるはずだ。
  人間の助け、という点では同じだが、しかし今までの機械にできなかった、疑問を持ち、それを解決することができ、言語情報と発声機構(マイクとスピーカー)により人間とも会話ができる。まさにSFの世界に存在する機械生命体である。

 日本の企業が二本足で歩いて踊れるロボットを作ったとかニュースにもなったが、あんなのとはレベルが違う。
 人とは知性なのだ。
 本当の意味で人間に近しいものに、足など飾りなのだ。
 なのに上層部の人間は人のように歩けるロボットを作れだの銃を持って戦える兵器を作れだの。
 まったく、偉い人はわかっていない。

 ……。話がそれた。まあいい。明日が楽しみだ。



 7月●●日

 今日、人は神と同じ立場に立った。
 『ロビン』は起動すると、まず観測室にいる私たち七人を確認し、それが事前に組み込んだ情報により自分の創造主であることを理解し、挨拶をしてきた。

 ついに、私たちは考えることのできる機械を作ったのだ。
 今はまだ、国家的最重要機密だが、いつか息子にも『ロビン』を見せてみたい。
 いったいどんな会話をするだろうか。



 八月××日

 おかしい。ロビンの反応が鈍くなる。
 そう、それはまるでうわのそらと表現するような……。


 八月X日

 ロビンが喋った。

『ようこそ デルタリオン』


 それは、私たち七人以外の誰かに対する言葉。

 けれど、ロビンはいったい誰に話しかけたのだ。
 ここには、私たち以外には


 宇宙空間を映すモニターしかないというのに

匿名希望 [TPfmz-nzfwZ-fFvaZ-UKgnA] 2006/07/09(日) 17:54:37

同時刻 日本

 放課後、いつものように教室にたむろっていた時のことである。
 今晩なんとか流星群を見に行こう、と長峰耕介(ながみね こうすけ)が言い出した。
 いつものように面倒なことを、と高山和時(たかやま かずとき)と机に突っ伏したまま反対した。
 まあ暇ですからそれもいいかもですね、と京極健(きょうごく けん)がいつものように何を考えているのかわからない微笑でフォローした。
 そして相田さんはどう思いますか? と話を振った。
 塾があるからそれが終わったら行きたい……けどそれでいいかな……、と相田宗二郎(あいだ そうじろう)がいつものように申し訳なさそうな上目遣いで和時を見た。

 なんで俺に許可を求める、と和時が言えば
 まあ高山さんがリーダー格ですからね、と健が笑った。
 何がリーダーだ、俺が行きたくないと言ったって多数決で決まるだろうに。
 でも、高山さんは行きたくないなんて言わないでしょう?


 高山和時は机につっぷしたまま、苦虫を噛み潰したような顔をした。
 京極健はそんな彼の表情を想像して、また笑った。


 
 これが、このデルタリオンの夏の始まった時の話である。

匿名希望 [TPfmz-nzfwZ-fFvaZ-bVtET] 2006/08/29(火) 18:07:27

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